ほかの子どもと比べて違うことがあると、子育てに不安を感じてしまうことは多いのではないでしょうか。このコーナーでは、医療・福祉・教育(保育)など、さまざまな現場で経験を積んだ先生方が、発達特性のあるお子さんを育てる保護者の悩みに寄り添いながら、一緒に考えていきます。
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●今回のお悩み●
成長がゆっくりな息子、検査をするべきなの?
1歳7カ月ですがまだ歩かず、ことばということばも出ない息子です。決しておとなしいわけではなく、喃語は出ていてとても速いハイハイで力強く移動もしています。「男の子は成長がゆっくりだ」という話はよく聞くのでゆったりと構えていればそのうち立って歩けたりことばも自然と出てきたりするものなのなのでしょうか? また何でも口に入れてしまうのも少し気になっています。発達検査をするべきなのでしょうか?
わが子の成長をどう見守る?――健診・相談で確認すべきポイント
発達検査も安心を得る一つの機会。わが子の個性を知り、「かかわり方のヒント」を得ましょう
1歳7カ月のお子さんが、まだ歩かずに、意味のあることばらしきことばを言わないというのはご心配ですね。
歩く、話すなどの成長は個人差の大きいもので、特にことばの発達に関しては、女の子に比べて男の子のほうがゆっくりである場合もよくみられます。
ただし、性別にかかわらず、1歳7カ月になっても、まだ歩かない、意味のあることばを言わないということであれば、運動機能や耳の聞こえについても含めて、一度、専門家にご相談すると安心かと思います。
歩くようになる平均は1歳3カ月前後といわれますが、発達が遅いお子さんでも1歳半頃には一歩を踏み出すことが多いようです。
ことばについても、1歳半頃に、「ママ」、「わんわん」などの意味のあることばが、一つか二つ出ているのが発達の目安といえます。
各自治体による1歳半健診では、これらの「歩く」、「意味のあることばを話す」ということがらについてチェックしますので、その機会に、まず気にかかっていることを相談され、発達検査についても併せてうかがってみてはいかがでしょうか。
1歳半健診では、「歩く」、「意味のあることばを話す」という事がら以外にも、聞かれたものについて「指差し」で答えるかどうか、「バイバイ」と相手からいわれたときにどんな反応をするのか、遊び方はどうか、などのコミュニケーションの取り方もみていきます。
まだことばらしきことばを言わなくても、他者のはたらきかけに対して、ことばの意味は理解していて、喃語、ジェスチャー、顔の表情など、今表現できる方法でそれに対応しようとしているのか、あるいは、反応がないのか、によっても発達の度合いの評価が異なります。
健診で相談した結果、「指差し」が出ていて、他者のいうことばを理解している様子がみられた場合に、「2歳ごろまでにことばが出るか、もう少し様子をみましょう」と言われることもあるかもしれません。
「歩く」についても、筋力や関節、神経の発達、またバランス感覚などに問題がないかを専門家に確認していただくのがよいと思います。
「このまま成長をみまもっていてよい状態か否か」、「必要に応じて、リハビリや療育などを入れたほうがよいか」について、一度、ご相談して確認することで、ご家族も安心できるのではないかと思います。
「何でも口に入れてしまう」というのは、1歳代ではまれではありません。0歳〜2歳ころまでは、「感覚と運動を通して世界を取り入れる時期」といわれ、お子さんは、舌や歯茎などの口の中の感覚を通して、身のまわりにあるあらゆるものを探索している状態にあるといえます。
ただし、これも、2歳過ぎても極端に続くようであれば、感覚の発達や行動面に特徴がある場合もあるので、その点も相談時にお伝えするとよいかと思います。
このようなご相談で、お子さんの年齢によっては、直近の健診がない場合もあるかもしれません。その場合は、発達検査を受ける必要があるかどうかも含めて、まずは地域の小児科や発達外来で相談して構いません。
発達検査を受けることで、現在の発達状態のみならず、そのお子さんの個性について知ることができ、保護者がお子さんとスムーズにかかわるための情報を得ることができると思います。 今後の育児に活かしていただくヒントを得る機会と捉えていただいてもよいのではないでしょうか。
相談者のお子さんは、喃語が多く、活発にハイハイできているとのことで、それは、全身のエネルギーや力がある証拠でもあります。まずは、専門家にご相談をして、ご家族が安心して日々のわが子の成長をみまもれる環境を整えていきましょう。
今回のお悩み回答者: 鏑木 眞喜子(かぶらき まきこ)さん
- 公認心理師・臨床心理士 博士(心理学)
公立小学校、私立中学高校のスクールカウンセラー、単科の精神科病院を経て、2011年より12年間、国立国際医療研究センター病院の小児科にて勤務。NICU病棟および小児科病棟では心理支援を行い、外来では乳児期〜思春期の子どもの発達評価、カウンセリング、保護者の育児相談に携わった。2024年9月より、目黒のひでまるファミリークリニック小児科にて発達外来をスタートし、地域の発達支援に携わっている。明治大学文学部心理社会学科臨床心理学専攻の兼任講師、明治学院大学心理学部・社会学部の非常勤講師を兼務し、後進の育成にも従事している。


















