発達特性のある中学生の進路は、インクルーシブ教育実践推進校※1や通信制高等学校、高等専修学校、高等特別支援学校など、選択肢が増えてきました。その分、自己選択・自己決定に悩む生徒や保護者の方が多いようです。今回はそのなかから、主に知的に軽度の遅れのある生徒が通う高等特別支援学校の実践例についてお話ししたいと思います。

※1 インクルーシブ教育実践推進校とは、障がいのある生徒を含めたすべての生徒が、ともに学び、相互に理解を深める教育に取りくむ学校として、神奈川県が独自に定めている高等学校のこと。

「就労」は大切だが、ゴールではない!

 私は横浜市教育委員会で「横浜市立若葉台特別支援学校(以下、横浜わかば学園)※2」という高等特別支援学校の開校を担当し、開校後は進路専任の教員として、約100名の高校生の進路開拓やマッチングにあたりました。卒業後の進路の多くは企業就労です。1期生は今年28歳、社会人10年目です。正社員登用、一人暮らし、結婚など、一人ひとり自分らしく生活されていますが、彼らと話して強く思うのが、「就労は大切だが、それがゴールではない。ゴールは社会のなかで豊かな人生を送ること」だということです。社会のなかで役割を果たしながら自分らしく生きていく過程を「キャリア発達」といいます。

 今回は、私が横浜わかば学園を開校したときのことを一例に、高等特別支援学校の特長について考えてみようと思います。

※2 本稿で紹介する横浜わかば学園は、2013年に開校した横浜市立では初の肢体・知的併置型の特別支援学校です。知的部門は「高等特別支援学校」の位置づけで、教育課程の中核にキャリア教育の理念を置き、卒業後は多くの生徒が企業に就職します。