今回は私が心理職として支援した方々の悩みや解決方法をもとに、「豊かで幸せな人生」について考えてみます。
就労以外の支援の不足が明らかとなった追跡調査
私が心理職として勤務していた「発達障害者支援センター」では、診断や特性が明らかとなった成人の方の支援について、本人と共有したうえで本人が障害者就労を希望する場合、専門の就労支援員が就労移行支援事業所などの利用まで支援していきます。
支援が終了した後のセンターの会議で、就労支援員から、「(相談者が)就労できました」と報告されると、私は「これでひと段落だ」と思っていました。しかし、一度就労した方の離職の報告を聞くようになり、「そもそも就労後、彼らはどのような生活を送っているのだろうか?」という疑問が私のなかに生じてきました。
国の調査などで就労の定着率は当時から報告されていましたが、職場だけでなく家庭生活や地域生活についての報告はほとんどありませんでした。そこで、私は就労支援員の協力を得て就労後の追跡調査を行いました。その結果、職場の適応は良好でしたが、家事、余暇、人間関係などの「ライフスキル」は低いままでした(武部ら、2021)。
「本人の特性に合った職場に就労したことを土台にして、その後の人生を充実させればいい」という考え方もありますが、就労者の人生をさらに充実させるための支援が少ない現状が確認されました。












