保護者が知りたい「キャリア形成と評価制度」のリアル
生田目:お子さんが無事に就職できたとして、次に保護者が考えるのは、その先のキャリアだと思います。「この先、お給料はきちんと上がるのだろうか」「責任ある仕事を任せてもらえるような、キャリアアップは望めるのだろうか」。これは、最も関心の高いテーマの一つです。特に、特例子会社における評価や昇進のしくみは外からはみえにくい部分ですが、実情はどうなっているのでしょうか?
鳥井:はい。まず多くの特例子会社では、きちんとした評価制度が設けられています。できることが増えたり、業務の幅が広がったりすれば、それに伴って昇給していくのが一般的です。たとえば、一般の担当者から数名のメンバーをまとめる「リーダー」へと成長すると役職手当がつく、といったリーダー制度を導入している会社も多いですね。一つの場所で安定して長く働き、段階的に成長していくという点では、特例子会社は非常によい就労選択肢だと思います。
生田目:なるほど。特例子会社のなかにも、キャリアパスが用意されているのですね。
鳥井:はい。ですが、一方では、一般企業に障がい者雇用枠で入社した場合の評価制度は、非常に難しい課題となっています。実は、昨年法律が改正され、これからの企業には雇用の「量」だけでなく「質」、つまり、障がいのある方のキャリア形成をきちんと支援していくことが求められるようになりました。「雇ったら終わり」ではない時代に入っているのです。

▲就労支援業務として、障がいのある方の就労をサポートする面談を実施している。アビリティーズジャスコ株式会社では、障がいのある社員が障がいのある方を支援している
生田目:具体的には、どのような難しさがあるのでしょうか?
鳥井:一番の課題は、昇進がかかった人事評価や登用試験の場面です。たとえば、知的障がいのある方のために、試験問題の難しい漢字にルビを振るといった配慮はできます。しかし、試験の内容自体を簡単にしてしまっては、ほかの社員との公平性が保てません。かといって、全く同じ基準では、障がいの特性によってはあまりに酷な結果となってしまいます。
この「どこまでが合理的な配慮で、どこからが不公平になるのか」という線引きが、本当に難しいのです。いまのところ、日本における多くの企業の人事制度は、この多様性に対応できるほどの柔軟性はありません。そして、実はこの難しさがあるからこそ、「それならば、障がいのある方専用の評価制度を一から作れる、別の会社を作った方がよい」という発想で、特例子会社を設立する企業が増えているという側面もあるのです。













