他者を観察する力の成長
Kさんはジェシカをたくさん観察するようになりました。その当時、まだ頭をなでることはできませんでしたが、自らジェシカの額を軽く触ることができました。「かわいい」とも言ってくれます。さらに長い時間をジェシカと過ごすために、食後に一緒に昼寝をするようになりました。
Kさんはジェシカのにおいを嗅ぎながら、顔をうずめるように寝転がります。寝ているジェシカを枕のように敷くのですが、腕枕で頭を上手に浮かせて力をかけていないようです。ジェシカは逃げずに普通に寝ています。これは他者に配慮した行動と受け取ることができます。
このころには、他者を突き飛ばして移動するようなことはなくなっています。犬をじっくり観察していくなかで、他者を観察する力が付いてきたのだと思っています。危険な行動が生じることはほとんどなくなったので、セラピーを終了することにしました。

第19回 高齢者施設での動物介在活動
→【https://subarucollect.jp/detail/452/】
川添 敏弘(かわぞえ としひろ)
- 酪農学園大学獣医学群獣医保健看護学類 教授。
公認心理師、獣医師。
発達障がいの方を対象とした“アニマルセラピー”について長年研究し、今は「動物の問題はヒトの問題」と考え、多頭飼育問題など動物愛護を中心とした社会問題に取りくんでいる。


















