2025年12月6日(土)、早稲田大学早稲田キャンパスで、早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授の梅永雄二先生が主催する「WAMSADD 早稲田発達障害研究会」のセミナーが開催されました。テーマは「発達障害の人が大人になって幸せになるために」。2015年から10年間続いたセミナーの最終回です。
 今回のセミナーには、幼稚園や特別支援学校の教師、心理士、そして保護者や当事者など約100名が集まり、熱心に学びを深めていました。

※梅永雄二先生には、すばるコレクト特集インタビュー「自閉スペクトラム症(ASD)の特徴と支援のコツ」記事内でお話を伺っています(https://subarucollect.jp/detail/294/)。

子どもの未来を支えるヒント満載! セミナーレポート

【話題提供①】運転免許取得に向けた支援を踏まえた、義務教育段階の支援について
高橋幾先生(山口県立大学)


 発達特性をもつ方の運転免許取得をサポートしている鹿沼自動車教習所(栃木県)。そこで実施している「つばさプラン」の事例紹介がありました。
 つばさプランとは、運転免許取得を不安に感じている人向けに、特別に設計された支援プログラムです。コーディネーターという専門職員が、発達特性のある方の学科や技能、生活面やメンタル面に関してサポートし、免許取得を支援しています。
 高橋先生は、運転免許の取得が子どもの自信を育む成功体験につながり、日常のさまざまなことに対しても意欲が高まるということを強調されていました。


【話題提供②】“わかり合う”ヒントと就労相談の実践
縄岡好晴先生(明星大学)


 縄岡先生は、就労相談における子どもとわかり合うためのコツとして、「就労相談は単なる情報交換ではなく、信頼関係を築く場にすべき」と述べつつ、関係づくりのための就労相談の「4段階構造」について説明しました。

① 相談の準備
② 共通認識の形成
③ 目標設定
④ 取組結果の振返り

という手順を踏むことが、相談員と子どもとの「つながり」を強め、子どもの強みや課題の把握につながると強調しました。


【話題提供③】自閉症のある子どものライフスキルの支援
宮野雄太先生(相模女子大学)


 宮野先生は、自閉症の子どものライフスキルの指導・支援について、実践事例を交えながら解説。実践では梅永先生の作成したライフスキル・アセスメントツールが使われました。


▲梅永先生がご執筆された「発達障害・境界知能(グレーゾーン)の子のライフスキル・アセスメントツール」(合同出版株式会社)


図 買い物のインフォーマルアセスメント

 また、ライフスキル・アセスメントツールで明らかになった「一人で現金を使って買い物をする」という目標に向けて、図のようにさらにお子さんの実態を詳しくつかむためのアセスメントシートが作られ、ご家族の指導がサポートされました。ご家族が一歩ずつ着実に、目標へと近づいていると述べました。


【特別講演】親なきあとの支援
志賀利一先生(PDDサポートセンター グリーンフォーレスト)


 「親なきあと」への現実的な備えについて、家族のかたちや意思決定支援など、障害者を支える社会の変化を見据えることの大切さが、事例を通して紹介されました。こうした社会の変化を踏まえつつ、以下の5項目を準備しておくことが重要であるとのことです。

① 住まい(生活の場)の確保
② 生活費と財産管理のしくみづくり
③ 日常生活と緊急時の支援体制
④ 本人の情報と希望を書面化
⑤ 兄弟・親族・地域とのつながりづくり


編集部コメント
 本セミナーは、全体を通して「子どもの今をサポートし、未来に備える」という前向きな内容でした。発達特性のある子への支援の方法は千差万別、最適なサポート方法は異なります。参加された支援者や保護者、当事者の方々にとっては、さまざまな事例を知ることにつながった、とてもよい機会になったのではないでしょうか。


【お問い合わせ先】
■WAMSADD 早稲田発達障害研究会
MAIL:wamsadd@gmail.com


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