お話をうかがったのは
司馬クリニック 院長 司馬 理英子(しば りえこ)さん
岡山大学医学部、同大学院卒業。1983年に渡米。アメリカで4人の子どもを育てるなか、注意欠如・多動症(ADHD)についての研鑽を深める。1997年、『のび太・ジャイアン症候群』(主婦の友社)を執筆。同年、日本に帰国し、東京都武蔵野市に発達障がいを専門とした「司馬クリニック」を開院。中学生までの子どもと高校生、大人の女性の治療に当たっている。
典型像からヒントを得ながら、わが子の特徴をとらえてみましょう
Q1 ADHD(注意欠如・多動症)の子どもによく見られる特徴は?
A1 おもな特徴は不注意、多動性、衝動性の3つです
注意欠如・多動症(以下、ADHD)は5%くらいの子どもがもつとされる発達特性です。女子より男子のほうが、4~5倍多くみられます。その特徴は大きく分けて3つ。①不注意②多動性③衝動性です。
① 不注意
忘れ物が多い、注意を持続できない、計画的に行動できない、ものをよくなくす、ケアレスミスが多い、歯磨きなどの日常生活で必要な日課を忘れる、または面倒くさがってやらない
② 多動性
じっとしていられず授業中でも席を立って出歩く、静かに遊ぶことができない、ペンをカチカチ鳴らすなど常に手や足で何かをいじったり音を立てたりする、しゃべりすぎる、危険な遊びをする
③ 衝動性
順番が待てない、授業中に聞かれてもいないことに答えるなど場にそぐわない発言をする、ほかの子どもに余計な干渉をして邪魔をする、せっかち、考えないで行動する
こうした症状は人によって強弱がありますが、ADHDの典型像として、『ドラえもん』に登場する2人の子どもが挙げられます。
●ジャイアン型
ガキ大将のジャイアンは、多動性と衝動性が強いアクティブなタイプの注意欠如・多動症(ADHD)症例です。目に見えて落ち着きがないので、わかりやすい症例ともいえます。
エネルギーが有り余っているジャイアンは、強引ながらまわりの子どもたちにリーダーシップを発揮します。でも、勉強は嫌いで集中力がなく、感情の起伏が激しく、身勝手で、ときにほかの子を押しのけて割り込んだり、危険な遊びをしたがったりします。
●のび太型
『ドラえもん』の主人公のび太は、やさしくて人の気持ちに寄り添える子なので、ジャイアンと同じ注意欠如・多動症(ADHD)には見えません。でも、じつはのび太は不注意の特性が強く、見た目ではわかりにくい静かなADHDの典型なのです。のび太は飽きっぽくて気が散りやすく、忍耐心があまりなく、やる前からあきらめてしまう傾向があります。
困ったことが起こると他人のせいにしがちです。授業中でもぼんやり空想にふけってしまうので、体より頭の中が活発に動くタイプのADHDといえます。
のび太型はおとなしく、問題を起こすことは少ないので、ADHDであることが見過ごされがちです。このため保護者などから適切な対応を取ってもらえず、成長してから多くの困りごとに直面することもあるので注意が必要です。
●混合型
このほか、ジャイアン型とのび太型の両方の特徴が目立つ「混合型」もあります。

▲注意欠如・多動症(ADHD)の典型像












