制作活動が子どもたちやご家族に与えるよい影響
編集部:一方で、子どもたちの自由な表現を支えるプロフェッショナルな視点も重要かと思いますが、その点はいかがでしょうか。
井元さん:芸大や美術系の学部を卒業したスタッフが、子どもたちの感性を尊重しつつも、色の組み合わせや陰影の付け方、構図といった専門的なアドバイスも提供しています。例えば、空を塗る際に1色で塗りがちな子には、「写実的に描きたいなら、空の上の方を少し暗い青にしてみると、より高さが出るよ」といったような専門的な提案をします。また、構図の基礎として、横向きの犬を描く際に画面の端ではなく、目線の先に空間を広く取るように配置を促すことなどです。なぜそうするのかという理屈は、子どもにはすぐに理解できないかもしれませんが、幼い頃から質の高い情報に触れておくことも、将来的に「あぁ、こういうことだったんだなぁ」という気づきにつながる、いわば「種まき」だと考えています。
編集部:こうした環境での制作が、子どもたちにどのような影響を与えていると感じますか。
井元さん:今回開催した展覧会などで、自分の作品を人にみてもらえることは、大きな自信につながります。親御さんに「すごいね、こんなの作ったんだね」と褒めてもらえる場によって、子どもたちが自信をもつきっかけになればと願っています。
松田さん:ここでの体験が、ご家族にとって何かしらの気づきや希望につながることを、私たちも心から願っています。


















