「一時保護」とは、児童、障がい者、母子家庭・父子家庭の親子、高齢者などを、安全確保のため一時的に保護する制度のことです。一般的には虐待による一時保護をイメージすることが多いと思いますが、ほかにも経済的困窮、傷病など何らかの理由で生活が困難な状態、児童本人の問題行動、一時的に介護不能状態に陥った状態など、一時保護の理由は多岐にわたります。
今回は、児童相談所における一時保護についてご紹介します。
一時保護って、どんな制度なの?
●一時保護とは
児童の一時保護については、児童相談所による児童本人からの相談、保護者からの相談、学校・医療機関・役所などからの通告、地域住民からの相談や通告などにより、「児童福祉法第三十三条」に基づいて、児童相談所長の判断によって行われます。
一時保護は通告後に必ず行われるわけではなく、通告・相談への対応、調査、保護者・子どもへのアプローチの一連の流れのなかで判断されます。
また一時保護の要件として、児童虐待のおそれがある場合や、少年法に基づく送致を受けた場合などが定められています。なお、実施にあたっては、子どもの最善の利益を考え、関係機関との連携を図りながら、速やかに行われます。
●一時保護の目的
児童の一時保護の目的としては、以下のことが挙げられます。
・子どもの生命の安全を確保すること
・子どもの心身の状況、置かれている環境などの状況を把握すること
・虐待の事実や根拠を立証すること
・安全な生活環境下で、子どもの観察や意見聴取を行うこと
・養育者の負担を軽減すること
一時保護は、通常2カ月の期限が設けられています。しかし、必要と判断される場合には、さらに期間が延長されることもあります。
保護される場所は、基本的には「一時保護所※」となりますが、保護される子どもや家庭の状況によっては、児童養護施設などの児童関連施設で行われることもあります。
※一時保護所:児童福祉法第12条の4に基づき、児童相談所に付設もしくは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内に設置され、虐待、置去り、非行などの理由により子どもを一時的に保護するための施設。











