「発音」と「表記」が違うことばって?
カタカナでは、長音を「ー」で表記します。たとえば「クッキー」、「ケーキ」などです。ひらがなのことばにも、長音の部分があります。
たとえば、「おかあさん」「くうき」などです。文字では、「おかあさん」「くうき」と書きますが、音声では「おかーさん」「くーき」と発音していますね。そして、その長音のなかでもひらがな表記が難しいのが、エ段ののばす音と、オ段ののばす音です。
たとえば、
● エ段ののばす音→「とけい」、「せいりせいとん」
● オ段ののばす音→「ろうそく」、「おとうさん」
などです。「とけえ」「せえりせえとん」「ろおそく」「おとおさん」とは表記しませんね。エ段の長音はのばす音の部分を「い」で、オ段の長音はのばす音の部分を「う」で表記します。
大人はこれを自然と書くことができますが、子どもにとっては発音と表記が違うので、結構難しいことがあります。
上記ではエ段ののばす音は「い」、オ段ののばす音は「う」と表記しましたが、さらに例外もあります。例外は次のように、詩のようにして覚えるとよいでしょう。たとえば、「ねえ、ねえさん。とおくの おおきな こおりの うえを おおくの おおかみが とお、とおったよ。」ひらがな、カタカナは表音文字(音を表す文字)ですが、表記するのは意外と難しいものです。


澄井 俊哉(すみい としや)
- グレーゾーンと発達障がいの子どもたちの特性サポート型学習塾「すばるゼミ」教室長
1984年相模女子大学小学部に赴任。「わかる授業、楽しい授業」に向けた指導のあり方を長年研究し続け、「総合学習」のカリキュラムの作成、「学習毎日プリントクリアー」の開始、「漢字ベルトタイムと漢字検定」の導入などを推進した。2016年に副校長に就任。コロナ禍においては、子どもたちのために、本の読み聞かせを200冊以上校内で配信。日本全国私立小学校連の研究大会において2013~2015年の間、国語部会の全国委員長を務める。