前回は、発達障がいのある子どもに対する「犬によるセラピー効果」について、「ストレスの軽減」、「情緒の安定」についてお話ししました。犬との日常生活が豊かになるに従い、生活の範囲が広がり活動的になっていくと考えられます。この生活の広がりが生じる過程で、子どもの社会性が向上していくケースもあります。必ず社会性が向上するとは限りませんが、屋外での小さな刺激に対する興奮性は下がる傾向があります。
今回は、犬によるセラピー効果のうち、「集中力の向上」、「社会性の向上」について具体的にご説明します。

「集中力の向上」って?
犬と子どもをいきなり一緒に引き合わせても、うまくいくとは限りません。親は無理やり交流させるのではなく、犬と子どもが互いに存在を理解し合える関係になるまで見守りましょう。親が犬を抱いて守るように接することで、子どもも犬も安心して過ごすことができます。慣れてきたら、子どもに犬の背中をタッチしてもらうなど、ちょっとしたふれあいからはじめていくとよいでしょう。
犬の顔の動きに子どもが敏感に反応してしまう場合は、犬の顔が子どもの方向にいかないようにしてあげると、お互い落ち着いた状態で長く交流することができるでしょう。
交流時間が長くなり、犬とのコミュニケーションが深まってくる頃には、子どもが自ら犬のところへ行くようになります。しかし、上手にかかわらなければ、犬はさっさと逃げていきます。親と一緒なら犬の体を上手になでることができますが、子ども1人ではなかなかうまくいかないものです。
犬が慣れてくる頃には試行錯誤しつつも、子どもは上手に犬をなでることができるようになっていきます。子どもが集中して犬をなでている姿を観察できるようになる頃には、生活のなかでも落ち着きある行動が随所で確認できるようになるかもしれません。