だれもが子どものときにした経験がある“ことば遊び”といえば、「しりとり」ではないでしょうか? しりとりは、親子で手軽に楽しむことのできる遊びです。家事をしながら、おやつを食べながら、散歩しながら…。お子さんと一緒にしりとり遊びを楽しんでいきましょう!

「語彙力」を高めるチャンス!

 しりとりのルールは、どなたもご存じかと思います。とても単純な遊びです。「ゴリラ」、「ラッパ」、「パイナップル」というように、ことばのおしまいの音を使って、次のことばを想起していきます。そして、ことばの終わりに「ん」がついてしまったら“負け”です。
 
 しりとりを開始して、ことばが思いつかなかったときや、ことばの終わりに「ん」がついてしまったときは、子どもがことばについて学ぶチャンスです!
 親御さんは、子どもにヒントを出して、ことばを想起させるようにアドバイスしてあげてください。たとえば、「ラッパ」の「パ」の次が思いつかないときは、「じゃあ、ヒントね。白と黒の動物は?」とか「ささを食べる動物は?」などと言ってあげるとよいでしょう。親御さんのヒントは、子どもが物事の説明の仕方を知ることにつながります。

 また、「ん」を使ってしまったときは、ピンチをのがれる“逃げ方”を教えてあげることで、ことばについて学ぶことができます。たとえば「パン」と言ってしまった場合はどうしますか? 「はい、おしまい!」とゲーム終了とせずに、「『パン』のあとに何かつけてごらん」とアドバイスしてみましょう。「パン屋」としたり、「パン粉」や「パンケーキ」としたりすることで、ピンチを乗り越えられますよね。これは、ことばに複合語という側面があることを知ることになります。


 私はかつて小学校の教員をしていたとき、給食中に子どもたちとしりとりで遊ぶことがありました。そのときに、子どもたちが私を困らせようと、みんなで協力しあって最後のことばが「る」で終わる言葉をさがして、私に挑んできました。子どもたちの作戦は、動詞を使って「はしる」、「なげる」、「かんがえる」などのことばを利用したものでした。「えっ、また、『る』?」と私は困りましたが、「ルーム」、「ルームキー」、「ルームナンバー」、「ルームライト」…などと複合語で対抗しました。しかし、「ルームエアコン」と答えてしまい、「あっ、先生! 最後が『ん』だよ」となって、ここで降参となりました。また、しりとりに辞書を持ち出して参戦してくる子どもたちもいて、とても楽しい時間となりました。