茨城県にある筑波大学附属病院は、特定機能病院として専門性の高い医療を担っています。また地域の中核医療機関として、救急医療や災害医療をはじめとする広域医療体制を支えるとともに、次代の医療を担う人材育成や研究にも力を注いでいます。

同院では、入院するこどもたちの心のケアをサポートするファシリティドッグについて、2027年4月からの導入に向けた準備を進めています。その経緯について、病院総務部医療支援課の薄井 藍さんにお話を伺いました。


※画像は同院からのご提供

2027年4月の導入開始に向けて準備を進行中

■ファシリティドッグの役割と、導入を決めた理由を教えてください
専門的な訓練を受けた犬が、ハンドラーである医療従事者(主に看護師)とバディを組み、長期入院のがん患者や難病患者の心のケア活動を行います。「ファシリティ」は「施設」を意味し、病院などの施設で働くために訓練された犬のことを指します。

導入のきっかけは、平松祐司病院長の長年の思いにあります。心臓血管外科医として、多くのこどもたちと向き合ってきた平松院長は、病と戦うこどもたちと接している中で、「白衣を着た大人が来るだけで泣いてしまう子が多い」という現場では、こどもたちには最新の医療技術とは別の、何らかの力が必要だと感じていました。こどもたちに寄り添い、心のケアを担ってくれるファシリティドッグの存在を知ったとき、平松院長は「こどもたちの頑張る力をもっと引き出してもらえるのではないか」と考えた次第です。


■病棟における滞在と活動内容について教えてください
ファシリティドッグは常勤です。ハンドラーとともに出勤し、月曜日から金曜日、午前9時から午後4時まで、1時間の活動と1時間の休憩というサイクルを3回繰り返します。活動内容はこどもたちの状況に応じて変わり、プレイルームでの集団活動もあれば、個別訪問もあります。処置時にはこどもの側に寄り添い、気を紛らわせてもらうことで、こどもたちの頑張りを支えてもらいます。


■運営体制と衛生管理はどのようにお考えでしょうか?
ハンドラーはファシリティドッグと生活を共にし、公私ともにバディを組みます。病院側では、看護師を含む十数名の多職種のチーム組み、活動をサポートします。衛生管理や医療安全に関しては、NPO法人シャイン・オン!キッズが整備したマニュアルに準拠しながら、当院の実情に応じてアレンジしていく予定です。

シャイン・オン!キッズは、ファシリティドッグのプログラムを提供している団体です。今回の導入にあたっては、公募による企画入札での審査を経て採用させていただきました。同法人がファシリティドッグの育成を担当し、当院が導入・運営を担当する役割分担となっています。ファシリティドッグの選定はハンドラーとの相性を重視して行われ、現在は2027年4月からの配置に向けて準備を進めている状況です。


■日本におけるファシリティドッグの普及が限定的になってる理由は?
欧米ではすでに広く普及しているファシリティドッグですが、日本での導入実績はまだ限定的です。その背景には、資金面が大きく関与しています。欧米においては寄付やドネーションの文化がすでに根付いていますが、日本ではその意識はまだまだ低く、クラウドファンディングのような試みも始まったばかりです。

今回の導入にあたっては、メインスポンサーである関彰商事さまの支援を受けていますが、7年以上の継続的な運営にはより多くの支援が必要となるため、3月からクラウドファンディングを開始予定です。


■おわりに
欧米ではすでに広く普及しているファシリティドッグですが、日本での導入実績はまだ限られています。この取り組みを通じて、治療と向き合うこどもたちが少しでも笑顔で過ごせる時間を増やし、病気と向き合う日々の中でも、未来に希望を持てる療養環境の向上を目指していきます。


1月29日には、来年の導入開始に向けたプレ活動を実施。こどもたちに寄り添い、心のサポートに励んでいた。
※画像は同院からのご提供


筑波大学附属病院では、ファシリティドッグに関するブースを設置し、その役割や社会的意義についてPRしている。また、設置された自動販売機の売り上げの一部は、シャイン・オン!キッズへ寄付される仕組みになっている。


【筑波大学附属病院 ファシリティドッグプログラム】
■公式HP
https://www.hosp.tsukuba.ac.jp/facilitydog2027/

■クラウドファンディング
https://readyfor.jp/projects/tsukuba-FD2026


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