本連載の「第1回 可能性広がるアニマルセラピー」では、アニマルセラピーには3つの種類があるということをお伝えしました。高齢者施設などで動物とのふれあいの場を提供する「動物介在活動」、医療機関での治療の補助的な役割としての「動物介在療法」、そして教育の分野で動物が活躍する「動物介在教育」です¹⁾。今回は、動物介在教育についてお話しします。

動物介在教育とは?

 動物介在教育の代表的なものとして“R.E.A.D. ®(Reading Education Assistance Dogs) プログラム”というものがあります²⁾。子どもが犬に読み聞かせをするというものです。図書館や学校、時には書店で子どもたちがお気に入りの1冊を犬に向かって読みます。犬はきちんとトレーニングを受けた読書教育支援犬と呼ばれ、ハンドラーの飼い主とともに参加します。

 この活動は、アメリカのユタ州から始まりました。アメリカは移民大国で、英語を母語としない子どもたちもたくさんいます。読むのが苦手な子どもも犬に向かってであれば、間違いを気にして恥ずかしがることなく声を出して読むことができます。ハンドラーは犬と子どもの様子を見ながら、子どもが犬へ読み聞かせをしやすい雰囲気をつくっていきます。

 R.E.A.D. ®プログラムは、日本でも三鷹市立図書館(東京都)で2016年から開始されました³⁾。コロナ禍の休止期間を経て、現在ほかの場所でも徐々に広がりを見せています。栃木県では、特定非営利活動法人 栃木アニマルセラピー協会による読書犬(読書教育支援犬)体験会が行われています。地域の図書館で実際に犬とふれあいながら、本を読む体験ができます⁴⁾。

 R.E.A.D. ®プログラムを代表とする動物介在教育ですが、ほかにもいろいろな取りくみがあります。犬が教室にいるだけでテストの結果が向上したという事例もあれば、子どもたちの心をはぐくむための情操教育や生命尊重教育の一環として動物を介在させることもあります。連載第6回でご紹介した小学校での補助犬授業も動物介在教育の一環です⁵⁾。


▲小学校での補助犬授業