前回は日本介助犬協会(以下、協会)が行っている、キャリアチェンジ犬(特定の補助犬としての適正が認められず、進路を変更して家庭犬などになる犬)を譲渡する取りくみ「With Youプロジェクト」についてお話ししましたが、今回はその活動で実際に犬を譲渡されたご家族を紹介します。(メイン写真提供:社会福祉法人 日本介助犬協会)

❝アーモ❞が家にやってきた!

 新潟市内に住む藤木さんご一家は、2022年に雄のラブラドール・レトリーバーの❝アーモ❞を協会から譲渡されました。当時5歳だった息子さんは自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害があり、ご家族は彼の感情表出や発語の促進を期待して、犬と一緒に暮らしたいと考えました。それまでは長年、ウサギを飼育していましたが、犬を飼うのは初めてで、テレビ番組で「With Youプロジェクト」の取りくみについて知り、協会に連絡を入れました。

 アーモは、介助犬になるための訓練は順調に進んでいたのですが、皮膚に少し問題がありキャリアチェンジ犬となりました。おだやかでコミュニケーションをとるのが得意という性格は、藤木さんご一家の希望にピッタリでした。マッチングのための手続きが順調に進み、約3週間のトライアル期間を経て正式に譲渡されました。ご家族にとって、大型犬を飼うことに不安がなかったわけではないということですが、協会の丁寧な飼育指導や、近くにある動物病院の獣医師の支援もあり、大きな問題は起こっていないそうです。


▲出会った頃のアーモとお子さん(ご家族提供)