ご家庭において、保護者である親御さんは子どもの行動に対して安全を守ることが求められます。もし何かあっても、定型発達の子どもであれば、多少のことは“けがも勲章”で済ませることができますが、発達に課題がある子どもの場合には、そう単純にはいきません。親としては、子育て中に事故やけがが起きないように、常に気をつかい、慎重に育児に取り組むことになります。子育てが初めてであれば、なおのことです。今回は、発達障がいの子どもにおける「アニマルセラピーの役割」についてお話しします。
自主性と安全性、どちらを優先するのか?
親は育児の際に、子どもの「自主性」や「強み」を育てていこうと考えます。その一方で、子どもが危険な行動をしないように、安全を守ることに神経質になりがちです。たとえば、テーブルのお皿をひっくり返してはいけないし、スプーンでコップを叩いてもいけないし、おかずを手でぐにゃりと握ってはいけないということを、親は子どもに知ってもらわなければなりません。しかし、子どもがそれをうまく理解できないまま強く注意されると、スプーンを持った手で額をたたいて気をまぎらわそうとしたり、大声をあげたりしてしまうことがあります。

図1 子どもが意味をうまく理解できないまま強く注意されると、スプーンを持った手で額をたたいて気をまぎらわそうとしたり、大声をあげたりしてしまう
このようなとき、子どもの安全を守るために、行動を抑えようとするのは、親として当たり前のことです。このように食事の場面だけをとってみても、人に言えないような苦労を重ねている親御さんは、たくさんいらっしゃいます。











