2025年7月10日(木)、相模大野(神奈川県)のユニコムプラザさがみはらにて、すばるコレクト公開記念セミナー「わが子の未来が輝く 進学・就労のヒント」を開催いたしました! 当日の様子を編集部がご報告いたします。
日戸由刈先生による「わが子の未来が輝く 進学・就労のヒント」
第1部では、発達特性のある子どもの将来に向けた支援について、日戸由刈先生(相模女子大学 人間社会学部 教授、信州大学医学部こどものこころの発達医学教室 招待教授)からお話がありました。講演内容のうち保護者や支援者に特に知っておいてほしい点について、いくつかご紹介したいと思います。
●「レジリエンス」と「自己肯定感」をはぐくむ支援
発達特性のあるお子さんが、将来はたらきながら豊かな人生を歩んでいくためには、「レジリエンス」と「自己肯定感」をはぐくむことが大切です。レジリエンスとは「立ち直り力」「折れない心」、自己肯定感とは「自分を信じる力」のことです。これら二つの力が補い合って、自己が形成されていくため、子どものうちに身につけていけるとよいでしょう。
では、具体的にどのようにしてこれらの力をつけていけばよいのでしょうか。
レジリエンスと自己肯定感をつけるために、まずは、基本的ライフスキル(生活力)をつけることが大切となります。発達特性のある方のソーシャルスキル(社会生活や対人関係に必要なスキル)を高めることの重要性がとかく注目されがちですが、先生いわく「ソーシャルスキルの前にライフスキル(生活力)をつけることが最も大切」だそうです。

▲ご講演中の日戸由刈先生
●基本的ライフスキルの育て方
ライフスキルをつけるためには、身のまわりのものの管理は親が行うのではなく、本人にやってもらうことが大切です。とはいっても、発達特性のあるお子さんが身のまわりのものを自分で管理できるようになるためには、さまざまな工夫が必要です。効果的な方法として、「構造化」というものがあります。
構造化とは、自分が何をしなければならないのかを理解できるようにするための工夫のことです。スケジュールや手順、ものの場所といったルールを視覚化することなどがよいでしょう。たとえば、トイレでするべきことを一つずつ順序だてて記載した張り紙を、トイレの見やすい場所に貼っておくことが挙げられます。親が構造化をしてあげることで、子どもの「手伝ってもらってできる」ことや「わかっている」ことが、「自分でやろうと思ってできる」ことに変わっていきます。
小学校低学年までの「幼児期」は構造化を行い保護的な環境で基本的ライフスキルを身につけさせ、小学校高学年以降の「青年期」は、親は黒子に徹して子どもの試行錯誤を見守り、子どもに失敗と立ち直りを経験させるようにすると、レジリエンスは育っていきます。
▲日戸先生のご講演スライドの一部(当日のスライドから一部改変)











