診療補助を超えて――愛玩動物看護師が担う飼い主支援という専門性
生田目:この領域を日本で定着させるために、何が一番の課題だと感じていますか?
山川:一つは、愛玩動物看護師の「意識」かもしれません。多くの学生たちは「自分のペットに対して愛玩動物看護師さんがすごく親切にしてくれた。だから、私も飼い主さんに寄り添いたい」と言って入学してきます。でも、いつの間にか「高度な医療技術を使って、バリバリ働ける愛玩動物看護師になりたい」という方向に変わってしまうのです。
生田目:技術を磨くことに目が向いてしまう、と。
山川:実習先の外来で、さまざまな手技を身につけた愛玩動物看護師をみると、自身のなかで「あんな素敵な存在になりたい」というロールモデルができあがりますが、どうしても技術重視になってしまいます。
もちろん、診療補助として、国家資格がないとできない技術の習得は大切です。獣医師が行ってきた業務の一部を愛玩動物看護師ができるようになり、獣医師の負担は減りました。でも、もう一つの役割として、資格がなくてもできる飼い主への説明や相談、指導にも、愛玩動物看護師として一生懸命取りくんでもらいたいです。動物の専門職として、きちんと向き合ってくれる存在がいれば、飼い主も安心できます。
生田目:先生ご自身がそう気づかれた理由はあるのでしょうか?
山川:愛犬を亡くした際にそう思うようになりました。入院中は、毎日動物病院に通っていましたが、自宅から病院まで2時間かかる道のりでしたが、5分でもいいから会いたかったんです。そんなとき、担当の方に一言、「今日の○○ちゃんの状況は〇〇でしたよ」、と言ってもらえるだけで、その2時間の道のりは報われるんです。
生田目:そういった飼い主に寄り添える一言の重要性を教えることは難しそうですね。
山川:はい、これは病院の基本姿勢にもよります。動物はもちろん大切ですが、飼い主にも向き合う——その方針を病院が持っていれば、どんなに忙しくても、「先生、ちょっと飼い主さんとお話しする時間をください」と伝えられて風通しがよくなり、獣医師がそれを許してくだされば、飼い主の心は軽くなると思います。













