一人の人間として接してくれる家族の存在は大きい
私には、少し歳の離れた弟と妹がいます。きょうだいで言いたいことは言い合っていますが、ケンカにはならず、よく笑っています。家族はみんなゲームが好きで、とてもなかがいいです。ゲームを通してつながっている部分もあるかもしれません。家族みんなでゲームをして、そのあとおしゃべりするのが楽しい時間です。
▲笑顔で幼少期のことを話してくれた小野詩菜さん
家族は昔から、障がい者としてではなく、一人の人間として私に接してくれていました。母の実家の家族も同じで、それがとてもうれしかったです。「障がいがあるからやらなくていい」とは言われず、むしろ「やってみよう」と言ってくれることが多かったですね。
▲大好きでよく行っていたという東京ディズニーランド用の視覚的支援カード。お母さんの愛情と工夫が詰まっている
私としては、今のように家族と一緒に過ごす状態がずっと続けばいいなと思う一方で、「そろそろ自立しないといけないかな」という気持ちもあります。
家族には「家にいてもいいよ」と言ってもらっていますが、弟からは「早く大人になりなよ」と言われることもあります(笑)。特別支援学校の先輩で一人暮らしをしている人もいて、「すごいな」と思う反面、今はまだ収入の面で難しいと思うところもあります。これからお給料が変わってきたら、いつか一人暮らしも考えたいです。
苦手なことはゲームにたとえてみる
私はあまりほかの人のことを気にしないタイプですが、障がいを重く感じて、比べて落ち込んでしまう人も多いように思います。でも、私はそういう気持ちがあまりなかったので、ずっと前向きに過ごせてきたのかなと思います。
もちろん落ち込むこともありますが、「一週間も落ち込んでいちゃ、ダメだな」って思うんです。失敗しても「しょうがない」と割り切るようにしています。調子がいいときは「今は調子がいいな」と思って、ただそのまま続ける感じです。波はありますけれど、うまくいかないときも「しょうがない」とそのまま受け止めています。
自分の特性を知ることは大切ですが、それで落ち込むよりも、自分の好きなことに置き換えてチャレンジしていくほうがいいと思います。私の場合は、大好きなゲームやアニメのストーリーから、いろいろなヒントをもらって生きてきました。
たとえば、人との関わりが苦手だと感じたときは、「この人は今、どう思っているんだろう」と推理するようにしています。少しゲーム感覚で考えると、気持ちが楽になるんです。
母がよく「人生はゲームみたいなものだ」と言っていて、私も高校受験のときは「アドベンチャーゲームをクリアするつもりで頑張ろう!」と考えていました。苦手なことも、大好きなゲームにたとえることで乗り越えられたのかもしれません。
小野詩菜さん 後編
→【https://subarucollect.jp/detail/465/】
監修 萬木 はるか(ゆるぎ はるか)先生からのメッセージ
- (公認心理師/臨床発達心理士スーパーバイザー)
詩菜さんの前向きさは、とてもまぶしく魅力的です。こうした詩菜さんの自分自身の受け止め方が培われた背景には、お母さんの子育ての工夫も感じられますね。わが子をひとりの人間として捉え、得意や苦手に向き合って試行錯誤してきた経過が、たくさんの自作支援グッズから見て取れます。幼児期から小学校期のサポートでポイントになるのは、「子ども本人にとって、わかりやすく、取りくみやすく、やってみようという気持ちになれること」といえるでしょう。「わかった、できた、次もやってみよう」という経験を丁寧に重ねてきたことが、今の詩菜さんにつながっているのだと思います。
総監修 日戸 由刈(にっと ゆかり)先生からのメッセージ
- (相模女子大学人間社会学部人間心理学科教授)
このインタビューは、相模女子大学で開発中のインクルーシブ生涯学習プログラムに参加中の当事者に、順番にお声かけをして実現したシリーズです。当事者の生の声から、たくさんのことを感じ取っていただければ幸いです。
相模女子大学インクルーシブ生涯学習プログラム
https://www.sagami-wu.ac.jp/longlife/inclusive/


















